ADHDの治療をしていて感じること
私は、かなり以前からADHDの治療、特に成人になってから自覚されて受診されるようなADHDの患者さんの治療に、大変、興味をもって取り組んでいます。
ADHDは、発達障害のなかでも最もありふれた発達障害であり、かつ、治療の工夫の仕方によっては劇的なほどに改善する発達障害でもあるからです。また、私自身や私の家族もこの発達障害とは無縁ではないからでもあります。
今日、つくづくこの発達障害の治療の奥の深さを痛感させられるのです。
第一に、治療薬である、ストラテラ<やコンサータ(成人には、現在のところストラテラしか使用できません)の効く可能性は共に60~70%しかないことです。
診察では、ADHDであるか否か、あるいはその程度についてはよくわかりますが、薬がきくかどうかについてはまったくわからないのです。しかし、不思議なことに治療してみると薬が効く方と効かない方とに、はっきりと分かれてしまいます。
このことについて、私自身はADHDの原因となっている遺伝子の多様性に関係すると考えています。
薬が効く方はラッキィーということでそのまま服薬していただければいいのです。今までと違って仕事も順調に進みます。服薬を続けていれば、その仕事そのものが効果的なトレーニングに変わり、スキルアップもするし問題の注意・集中力も鍛えられという好循環に変化します。まさに、いいこと尽くめなのです。
しかし、薬が効かない残りの30,40%の方はどうすればいいのかという問題が残ります。その回答も私なりには、得たように思ってはいますが------。
次に問題になるのは、特に成人のADHDでは合併する精神疾患が非常に多いという現実です。ADHDで薬が効けばそれを飲んでいればすべてが解決するように先に書いたのは、実は誇張です。
本当のところは、合併する精神疾患の有無とその重症度を丁寧に見極めないといけないのです。主な合併症は、双極性障害(躁鬱病)、うつ病や過眠症(ナルコレプシーを含む)です。特に、成人のADHDでは双極性障害(躁鬱病)の合併は高率で、私見では半数以上の方が程度の違いはあれ合併しているように考えています。
なかには、成人になってADHDであることをを自覚されて治療に来られているものの、ADHDより双極性障害(躁鬱病)の方が重度で、そちらの治療を優先しなといけないケースもよくあります。また、ADHDと双極性障害(躁鬱病)とを同時に治療しないと社会適応が改善しないケースも実に多いのです。ですから、成人のADHDの治療する医師は、双極性障害(躁鬱病)の治療についても人一倍すぐれていなといけいと思っています。
よく診ないと、どこまでがADHDの症状で、どこまでが他の合併する精神疾患の症状か判然としないのです。つまり、合併する他の精神疾患が悪化すれば、ADHDの症状もより重篤に見えるのです。
DSM—Ⅳという権威ある診断基準では、症状が他の精神疾患で説明できる場合は、ADHDと診断しないという原則になっています。しかし現実は、決してそんなに単純ではありません。実に、混とんとしているのです!
私のクリニックには、近畿全域はもとよりさらに遠方から来られる方もおられるので、多様なADHDの症例に恵まれています。ですから、すでに他の精神科に通院中の方も多いのです。
驚くのは、私の診断がADHDと双極性障害(躁鬱病)の合併であっても、他院ではほとんどが適応障害、社会不安障害とかうつ病とかの診断になっていることです。
多くは言いませんがその治療に疑問を感じて患者さんは来られるのでしょうし、また治療している私も手応えは感じている訳ですが。精神科治療の現状のあまりのあいまいさに、ただただ呆然とする毎日ではあります。
参照:ADHDの治療では、気分障害の合併に対する配慮もたいへん重要です。
ADHDは、発達障害のなかでも最もありふれた発達障害であり、かつ、治療の工夫の仕方によっては劇的なほどに改善する発達障害でもあるからです。また、私自身や私の家族もこの発達障害とは無縁ではないからでもあります。
今日、つくづくこの発達障害の治療の奥の深さを痛感させられるのです。
第一に、治療薬である、ストラテラ<やコンサータ(成人には、現在のところストラテラしか使用できません)の効く可能性は共に60~70%しかないことです。
診察では、ADHDであるか否か、あるいはその程度についてはよくわかりますが、薬がきくかどうかについてはまったくわからないのです。しかし、不思議なことに治療してみると薬が効く方と効かない方とに、はっきりと分かれてしまいます。
このことについて、私自身はADHDの原因となっている遺伝子の多様性に関係すると考えています。
薬が効く方はラッキィーということでそのまま服薬していただければいいのです。今までと違って仕事も順調に進みます。服薬を続けていれば、その仕事そのものが効果的なトレーニングに変わり、スキルアップもするし問題の注意・集中力も鍛えられという好循環に変化します。まさに、いいこと尽くめなのです。
しかし、薬が効かない残りの30,40%の方はどうすればいいのかという問題が残ります。その回答も私なりには、得たように思ってはいますが------。
次に問題になるのは、特に成人のADHDでは合併する精神疾患が非常に多いという現実です。ADHDで薬が効けばそれを飲んでいればすべてが解決するように先に書いたのは、実は誇張です。
本当のところは、合併する精神疾患の有無とその重症度を丁寧に見極めないといけないのです。主な合併症は、双極性障害(躁鬱病)、うつ病や過眠症(ナルコレプシーを含む)です。特に、成人のADHDでは双極性障害(躁鬱病)の合併は高率で、私見では半数以上の方が程度の違いはあれ合併しているように考えています。
なかには、成人になってADHDであることをを自覚されて治療に来られているものの、ADHDより双極性障害(躁鬱病)の方が重度で、そちらの治療を優先しなといけないケースもよくあります。また、ADHDと双極性障害(躁鬱病)とを同時に治療しないと社会適応が改善しないケースも実に多いのです。ですから、成人のADHDの治療する医師は、双極性障害(躁鬱病)の治療についても人一倍すぐれていなといけいと思っています。
よく診ないと、どこまでがADHDの症状で、どこまでが他の合併する精神疾患の症状か判然としないのです。つまり、合併する他の精神疾患が悪化すれば、ADHDの症状もより重篤に見えるのです。
DSM—Ⅳという権威ある診断基準では、症状が他の精神疾患で説明できる場合は、ADHDと診断しないという原則になっています。しかし現実は、決してそんなに単純ではありません。実に、混とんとしているのです!
私のクリニックには、近畿全域はもとよりさらに遠方から来られる方もおられるので、多様なADHDの症例に恵まれています。ですから、すでに他の精神科に通院中の方も多いのです。
驚くのは、私の診断がADHDと双極性障害(躁鬱病)の合併であっても、他院ではほとんどが適応障害、社会不安障害とかうつ病とかの診断になっていることです。
多くは言いませんがその治療に疑問を感じて患者さんは来られるのでしょうし、また治療している私も手応えは感じている訳ですが。精神科治療の現状のあまりのあいまいさに、ただただ呆然とする毎日ではあります。
参照:ADHDの治療では、気分障害の合併に対する配慮もたいへん重要です。