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軽い躁うつ病(双極性障害)は、実に多い!

 これまで、なんとかなっているようで、本当はよくなっていないうつ病、なおらない慢性的、難治性性のうつ病と思っていた人が、よく経過を考えると実は軽い躁うつ病(双極性障害、あるいは、soft bipolarともいう)であったということを、実に多く経験してきたように思います。

 まさに、シーザーではありませんが、「○○さんーーーあなたもか?」というのが実感です。

 そして、うつ病の治療を切り替えて、躁うつ病の治療をすれば、どんどんよくなっていくのです!

 さすがに最近はこのような治療初期の判断ミスはあまりなく、初診で判断できるとは思いますが。

 このように、軽い躁うつ病は実に多いのです。新患の方のほとんどが、このタイプの「軽い躁うつ病(soft bipolar)」である日もまれではありません。

ここでいう軽い躁うつ病とは、うつはかなり重い症状なのが典型的ですが、躁の程度はごく軽く、本人には普通に戻った程度の実感しかないケースが多いのです。

 だから、専門家でも間違えやすい。治らないうつ病とかで、他院からこられる方はの大多数がこのパターンです。

また、軽い躁うつ病をパニックが起きやすいからという理由でパニック障害と誤診されている例も実に多いです。軽い躁うつ病でもパニックは起きやすく、逆にパニック発作をよく起こしていれば、躁うつ病も疑うことは常識なのです。パニック障害では、初期はパニック発作がおきても、次第に発作自体は少なくなって、予期不安が主体になることが普通です。もちろん、「気分の浮き沈み」などありませんから、鑑別は容易です。

 軽い躁うつ病の症状である気分の浮き沈みが激しいという症状を、自分の性格のためと悩んだり、そのために対人関係や仕事がうまくいかないという理由で来院されたりというパターンも実に多く見受けられます。

これも、「軽い躁うつ病(soft bipolar)」の典型的なパターンです。


 以上の場合は、うつ病の治療やパニック障害の治療では決してよくなりません。症状が軽くても躁うつ病の治療をしなければなりません。

 躁うつ病の治療は、うつ病の違い一般的にかなり難しいケースも多いですが、逆に、一日、半錠や1錠の薬でも安定されるケースもあります。

 ですから、躁うつ病かと疑われたら気楽に受診されることをお勧めします。

参考:軽い躁うつ病(気分変調症)の症状

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Re: No title

>  母の症状で、意見を伺いたいです。
> 10年ほど心療内科に通っており、明らかな双極性障害と思われます。鬱と躁を数か月単位で繰り返しています。
> 最初は躁のときは少し元気かな、とか行動力があるなという程度で鬱の状態が目立っていました。
> 当時どのような薬を服用していたのかは分りませんが現在服用している薬を聞いたところ、ラミクタール(2錠)、デプロメール、グットミン、セロップAと言っていました。
> 双極性障害のときは抗うつ剤は処方されないとありますが、このような処方の仕方もあるのでしょうか?
> 今は鬱状態のときでセカンドオピニオンを受けに行く気力もないようです。
> また躁状態になると薬を飲むのが面倒になり、やめてしまうことがあるようです。
> ご意見お願い致します。
> 残念がら、おっしゃる通り双極性障害に抗うつ薬の投与は、全くナンセンスです。
>
>  正当な双極性障害の治療は、気分安定薬(デパケンかリーマス)+少量の非定型精神薬でまず、気分の波を平坦にしてから、低値安定(たいてい気分は安定しても意欲や集中力が不十分となります)の状態を持ち上げるために、ラミクタールの追加を行います。
>
>  ラミクタールは非常に有用な薬ですが、それだけでは、気分の浮き沈みをコントロールすることはできません。抗うつ薬との組み合わせは、全くナンセンスです。
>
>  また、ラミクタールは、十分量を用いなければ、ほとんどあるいは全く効果はありません。デパケンとの併用で、200㎎、リーマスとの併用では300~400㎎が必要量です。
>
>  50㎎程度(25㎎錠、2錠)のラミクタールしか投与してない例をよく見かけますが、これも全くナンセンスな処方です。

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昔はそう極性障害の情報不足?

私が、病気を発症した時は、メディアでもうつ病ばかり取り上げていたと思います。開業医を内科医から進められ、受診した心療内科のクリニックは、今思うととんでもないヤブ医者、患者、特に具合がすごく悪く、正常な判断が出来なくなった患者は、医師の言う事を聴く事が全てのようになります。そんな勉強不足の医師の開業なんて、私は許せないです。患者の人生がかかっているのですから。どう思いますか?パソコンばかりに気を取られ、多くの患者の診察を続ける。どう思いますか?

「双極性障害」についての情報

私の弟もうつ病の治療を10年受け治らず、最近やっと、「双極性障害では?」と気づきました。
ほんの一片の躁エピソードを医師に伝えなかった事を後悔しています。
以下、私なりに調べた情報です。

「ノーチラス会」
日本で唯一、双極性障害に特化したNPO法人
双極性障害で悩む方の無料電話相談もうけられるようです。
http://bipolar-disorder.or.jp/

当会、理事長である鈴木映二先生が
「うつ病と診断されている方の中にも双極性障害 特に躁状態が目立たない人が含まれている可能性があります。双極性障害の方はうつ病と誤診される確率が高く、発症から正確な診断まで平均8年位かかるというデーターもあります。」とおっしゃっていました。


「日本うつ病学会」より
「双極性障害とつきあうために」→「双極性障害の治療、診断に専門的に取り組んでいる医師の見つけ方」
http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/sokyoku/

せめて、双極性障害に詳しい先生に診てもらいたいという方はたくさんいらっしゃると思いますので、参考になるかもしれません。




プロフィール

中尾純治

Author:中尾純治
大阪府、高槻市の心療内科・精神科のなかおクリニックの院長です。暇な時間帯は、横になって音楽を聞いて過ごす(うたた寝?)のが日課になっています。患者さんに「先生はどのように過ごして、ストレスを管理していますか?」とよく質問されますが、これが私のストレス対処法です。詳しくは、このブログをみてください。

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