うつ病の治療は、実は、案外簡単!
うつ病はごくありふれた「心の病気」です。昨今、テレビなどでもうつ病の特集を組んでいるのをよく見かけます。
それを見ていると、うつ病が大変な病気で、治療もいかにも難しいような印象を受けるかもしれません。
しかし少し考えてみれば、薬物治療も進歩した今日、ありふれた病気であるうつ病ごとき(?)の治療が難しいはずがないことがわかると思います。
うつ病には、他の病気との並存(例えば、発達障害)などの問題もありますが、うつ病の治療自体は、基本さえおさえていれば、ごく簡単だと実感しています。
その「うつ病の治療の基本」とは、ストレスの軽減(休職やその他のストレスの軽減方法を通して十分に考える)と薬物治療の両輪をバランスよく行うということに尽きます。
これはまさにケースバイケースで診察時にどのようにするのか、主治医とよく相談することが大切です。つまり、医学的判断と本人の納得との折り合い点を見出していくという作業なのです。
簡単な例をいえば、休職が必要な程度のうつ状態で本人もそれを受け入れるかどうかなどです。
ただし、うつ病を寛解に導くには、ちょっとした工夫が必要なこともあります。(うつ病の治療での工夫について)。でも決して特殊なことでもありません!
うつ病は、再発もよくあり慢性化しやすいのも事実ですが、そのような場合でも服薬を続けていれば、ごく普通の社会生活ぐらいは送れるはずなのです。
以上は、真面目なうつ病の治療を受けた場合のことで、うつ病を軽視してもいいという話では決してありません。
早期の治療を受けない、自分の判断で勝手に治療を中断してしまうなど、うつ病を侮ると大変なことにもなりかねないことも事実なのです。
なにしろ、うつ病は「心の肺炎」とも言われてもいるのです。
ですから、なによりも真面目に治療を受けてくださるようにお願いします。
ほんの一部には難治性うつ病もありますが、決して多くはないのです。
治療しても何か月、あるいは何年もよくならないうつ病とは、実は多くの場合双極性障害(躁うつ病)です。
程度や症状が多様で幅が広いので、双極性障害スペクトラムという言葉を使ったほうが適切ではあります。
うつが深刻でも、躁はほんの少し調子がいい程度で、このことに本人も医師も気づいていないだけで一見うつ病にみえて実は双極性障害(躁うつ病)というケースを、本当に嫌というほど私は経験してきました。
他院から来られた方はもちろんのこと、残念ながら、私自身の患者様の場合も含めてこれが事実なのです。偉そうなことを言ってはいますが、多くの患者様を診させていただいた私のいつわざる経験談です。
事実、適切な双極性障害(躁うつ病)の治療をすればたいていは、あっけないほどすっきりしてしまうのです!ただし、ことわっておきますがうつ病の治療とは違い、双極性障害の治療はたいてい少しは複雑ですが。かなり困難なこともままあります。
繰り返しますが、真面目な治療を受けてもなおらないうつ病、つまり難治性うつ病とは、双極性障害(躁うつ病)であることがほとんどだと私は思います。
●参照
・軽い躁うつ病(双極性障害)は、実に多い。
・うつ病の治療での工夫について