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最近、診療して新たに気づいたことについて

 日常、真剣に診療していれば、ありきたりの治療の中にも新たな精神科治療の工夫や改善がまだまだ存在することに気づかされることが多いことに私自身、本当に新鮮な驚きをもって感じさせられるのです。

 このようなことは、精神医学の教科書や文献には勿論、書かれてはいません。文献や講演会の案内などは製薬会社の方が頻繁に持って来られますが、内容にはざっと目をとおすこともたまにはありますが、たいていは表題だけ見ても内容がつまらないのは一目瞭然なので、製薬会社の方には本当にわるいのですが全ては即、ゴミ箱行きです。

 私は、診療やそれに伴う事務作業以外は、不肖のわが子の子育ての工夫(いかにして、この激動の社会にうまく適応していく能力や気概を身につけさせるかなど)と自分の趣味以外はしません。勉強は正直嫌いで、本業の勉強はほとんどしていません。

 最近気づいた新たな発見の一つは、双極性障害の治療についてです。
ラミクタールなどを使ってどのように気分・意欲の底上げをしても、厳密に「気分の起伏」を止めないと、長期的視点でみるとむしろ悪化して抑うつ状態が一層、目立ってくるケースが多いことに気が付きました。

 つまり、双極性障害の治療については、一応、ご本人が困らぬ程度の治療ではダメで、気分の起伏厳密なコントロールが極めて重要で、それがこの治療の要だと気付いたのです。そうしていないと、今はいいかもしれませんが、ゆくゆくは困ったことになることが多いのです。治療すれば短期的にも長期的にも改善するのが当然で、後退は許されないというのが私の持論です。一般の読者の方にとってはテクニカルには難解なので、これ以上の詳細は述べません。

 もう一つは、発達障害の重要性の再確認です

 アスペルガー障害は、診療していればすぐに気づくので、さして問題にはならないのですが。また、現在のところ、それに対する薬物治療は残念ながらないので、そのことを本人に告げる勇気もない私は意識してこの問題を素通りしたまま、他の合併症などの治療を行っています。このことは、すでに過去のブログでも述べました。

 問題は、ADHDなのです。

 私は、ADHDを自ら疑いその診断・治療を目的に受診されていない方、あるいは、休職などして本人が本当に窮地に追い込まれてはいない場合以外には、最初からADHDの診断までには深入りしないことを原則としていました。このことも、過去のブログに記述しました。

 しかし、長年診療して安定していられた方でも、予想外のトラブルに巻き込まれたりすると途端に大きく調子を崩されることがしばしばあります。この場合、今までの治療をより厳密に行っても、十分な改善が見られないことがよくあります。

 私は、小学一年生から初老期に至る方までの数千人にADHDの治療をしてきましたから、このような場合にADHDが合併していることの可能性にはすぐにピンときます。しかし、ADHDは、勘だけでは診断はできないのです。やはり、国際診断基準のDSMに基づいて丁寧に診察していかないと正しい判断はできないのです。

 前述のように突然の窮地に陥った方に十分な改善をもたらすためには、従来やっていた治療をより厳密にすることだけでは事足らず、ADHDの診断についても踏み込んでいってADHDの治療を追加することが必要なケースを、最近、立て続けに数件経験したのです。

 何しろ、ADHDは極めてありふれた発達障害ですから、むしろ当然といえば当然ですが。

 また、十分な治療をしたつもりで気分・意欲は十分に改善しているにもかかわらず、睡眠が浅くて困っている方もいたのです。この方もADHDを疑い、厳密に診断するとやはりADHDも合併していました。睡眠薬を増量するのではなく、新たにADHDの治療を開始することでこの問題も解決しました。もちろん、作業効率が増して社会適応性が改善したことは申すまでもないでしょう。

 これからは、どのような症状を訴えておられる方でも、疑わしければ最初から、ADHDの正確な診断が必須と考えるようになりました。ADHDを治療するかどうかは、本人のご希望やその時点での症状の重症度により思慮深く判断せねばなりませんが。

 ですから、発達障害が全く診断できない一般の精神科医の方は、精神科の治療は不可能だとすら思えます。例えて言えば、そのような精神科医は、片腕をもぎ取られたような状態なのです。

 精神医学の教育界が、早くこのことの重要性に気づき早期に教育システムの改善を行わないと悲劇は繰り返されるだけでしょう。

 しかし、残念ながら期待は薄いでしょう。肝心の教育層の方が発達障害は、全く理解していないのが現状なので。
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プロフィール

中尾純治

Author:中尾純治
大阪府、高槻市の心療内科・精神科のなかおクリニックの院長です。暇な時間帯は、横になって音楽を聞いて過ごす(うたた寝?)のが日課になっています。患者さんに「先生はどのように過ごして、ストレスを管理していますか?」とよく質問されますが、これが私のストレス対処法です。詳しくは、このブログをみてください。

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