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私の失敗談-自閉症スペクトラム

 もう、5年ぐらい前のことになります。


 ある上級国家公務員の方が来られました。かなり以前から精神科に通院されていましたが、転勤が多く何回の転勤後に大阪に来られて受診されたのです。

 「どのようなことで来られたのですか」と尋ねたところ、かなり古くなった診断書を取り出して見せてくれました。その診断書には、強迫性障害の診断のもとに、どのような薬がだされているかが記されていました。

 ある種のこだわりが強いために本人が苦しみ、それを緩和するために薬を飲まれているのだと理解しました。

 しかし、受診の理由を聞いても自分の言葉では何も答えず、そのかわりに黙って診断書を出されるようなことは今まで経験しなかったので少なからず驚きました。

 そこで、正しく診断をつける意味からも症状を自分の言葉で説明してもらいたいと思い、どのようなことに苦しんでいられるか、仕事はどのような内容でうまくいっているのかなどを聞きました。

 その方は、そのようなことの説明はいかにも苦手であるかのように、けっしてうまくない表現でようやく答えてくれました。

 しかし、途中で急に怒り出して「精神科医にこのような失礼な対応をされたことはない、本来なら払う気はないが今回だけは診察料は払ってやる」といわれました。

 私は、事態がのみこめず唖然としてしまいました。しかし、患者さんを怒らせてしまったことには間違いないので、とにかく平謝りしました。

 それ以来、彼は来られませんでしたが、私もたいへん拙いことをしたものだとつくづく反省させらました。

 思うに、上級国家公務員ですから知性はたいへん優れているのでしょうが、診察場面でも示されたように自分のことなどを適切に相手に判るように説明するのは苦手で、それを避けるために診断書を見せられたのでしょう。

 その能力の落差を説明すると、それは自閉症スペクトラムだからということになると思います。自閉症スペクトラムの人は、知性などの能力は高いことも多いのですが、対人関係が下手でコミュニケーション能力が低いという特徴があります。

 また、こだわりが強く興味の範囲が狭いという特徴もあります。彼自身もこだわりの強さが強迫性障害のように自分を苦しめ、それを緩和するために薬を必要としていたのでしょう。

 彼の立場からすれば、私は自分の苦手とするところをわからずに、無遠慮な態度にで聞いてくる無神経な医者と思われたのでしょう。大変申し訳ないことをしたものです。

 最初の段階で、そのようなことにも気づかずに下手な対応をしていまった私自身の診療技能の拙さにも、つくづく感じ入った次第でした。
 

 

 
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プロフィール

中尾純治

Author:中尾純治
大阪府、高槻市の心療内科・精神科のなかおクリニックの院長です。暇な時間帯は、横になって音楽を聞いて過ごす(うたた寝?)のが日課になっています。患者さんに「先生はどのように過ごして、ストレスを管理していますか?」とよく質問されますが、これが私のストレス対処法です。詳しくは、このブログをみてください。

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