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ある読者のコメントについて、私が考え、気づいたこと

 先日、もう何年も前に育児のしんどさから当院の受診し、最近になってようやく子供の発達障害がわかった方が、当時、「母親の育児の悩みの向こうに、子供の発達障害の疑いを持とうともしない」ようにみえる精神科医が、ADHDに関するブログを書いることに対するご批判のメールを頂戴しましたので、私の返答をADHDなどの発達障害の治療に対する私の見解を含めて修正加筆して書いてみました。

「こんばんは
不快な思いを、させて申し訳ありません。
ただあなたにも、誤解はあります。

 私は、今は克服していますが大病を患い、2度も休診しています。
その間の死の淵に立ったような大きな苦しみから、人生観、治療態度も大きく変わったと思っています。
「もう何年も前」の受診なら、その基準で今の私を判断されるのは、如何とは思います。
自己改革の意識を持ち続ければ、人は、かなり変わるものと思います。

 このことは、特にADHDの治療を受けられる方にも大切だと私は常に強調しています。
「コンサータ(ストラテラ」は、単に一時的に注意力を高め、社会適応性を改善するために使用するのではない。
持続的に薬を使うことによって、今まで空回りしていた努力を着実なものにし、視野を広げ自己改革、自身の向上を助けるものなのです。いずれは、卒業するべき時がこなければならないお薬なのです。この辞め時の基準は、コンサータを使用してしなくても同等の状態を維持できるようになる時期です。ですから、何時まで飲まなけばいけないかというご質問には、ご自身の自己改革の意識の持ちようによって大きく変わるものだ。」と口癖のようにいっています。

 また、ADHDは、きちんと国際診断基準であるDSMに基づいて診察してみないとわかりません。また、6歳未満の診断は無理です。発達障害が自閉症スペクトラムなら、もっと慎重を期さねばなりません。軽々しく憶測で口にするようなことでは決してありません。

 社会適応のの問題など発達障害を疑っておられて自らが来院されておらず、単なる「悩み相談」では、初診では発達障害の問題までは通常深入りしません。何度もご本人が通院して頂ければ、そういう問題にも気が付いて、希望されれば治療することもありますが。

 もちろん診察内容は、全く覚えていません。しかし、「母親の育児の悩みの向こうに、子供の発達障害の疑いを持とうともしない」といわれますが、子供さんの診察もせず、初診だけではそこまでは深り入りしないのが常識かと思います。そのようなことを憶測でものを言えば、疑心暗鬼に囚われてかえって不安定になって子育てがよけいにうまくいかなくなるだけなのです。ご自身も、最近になってようやく子供の発達障害がわかってきたといわれてますが、まさにそういうものなのです。親御さんが、子供の発達障害を受け入れる心の用意が整ってこそ、この問題への対処も可能になるのです。発達障害を見て欲しい、当院はADHDしかみておりませんが、と言われてお子さんを連れて受診されて、診断結果を伝えても納得されず、他の医療機関でも診断して頂きたい希望されることもあります。そのような場合は、まだそれを受け入れる心の準備が御両親にないのだと受け止め、それ以上は深入りを避けるのです。

このように発達障害は誠に微妙な問題なのです。自ら発達障害を疑われて受診されても、診察結果をストレートに伝えると傷つかれる場合も多いので表現に神経を使うものです。子供を診させていただいても、ご両親に本人に告知すべきかを相談し、ご本人には薬を使用する理由は説明しても診断名は伏せるのが普通です。それほど配慮が必要なことなのです。

 また、治療中に、アスペルガー障害の存在には気が付くこともよくありますが、本人がそのことを告げられることを望んでいないないと思えする場合は、意識してこのことを素通りしたまま診療を続けています。

 このような視点を重視して、発達障害は治療されるべきだと私は考えます。」
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発達障害が診断できない大学の精神科医

発達障害は、精神科領域でベースになる概念だと思います。
そのうえで、種々の精神病について学ぶべきではないかと私は思います。
そうでなければ、人間の精神的な変調を包括的・立体的に理解できないと思うからです

 簡単な例をあげてみましょう。
会社でうまくいかず、気分も不安定になって精神科を受診したのです。
このような時、適応障害と診断されることが多くあります。
医師は、一応診断をつけたので妙に自分を納得させてしまっています。
ところが、患者さんの方は、通院しても一向によくならなし、何かぴんと来ないものがある。そこで、自分で調べたり友達に聞いたりして、比較的軽度であっても自分は発達障害ではないかと考え、私のところに受診しにくる。
 何のことはない、患者さんの方が主治医より利口で、適応障害の理由は発達障害があるからなのです
 わたしは、「あなたの主治医のほうが、精神科医としての適応障害ですよ」と言いたくなるが抑えています。
 当院ではこのような笑えないことが、本当に毎日のようにそれも複数あるのです。

 私もそうですが、いわゆる町医者ならそれも仕方ないかと思います。精神科の教育界がダメなだけで、本人の罪は軽いかもしれないと思うからです。
 しかし、困ったことに大学病院も似たようなレベルなのです

 ある銀行マンで仕事にミスが多く、要領も悪いので上司に叱られてばかりで、気分にも変調をきたし、自分もADHDかもしれないと考え遠方から私のところにやってこられました。

 私は、すぐさま中等度以上のADHDで、軽い双極性障害も合併していると診断し、精神的不調も改善させ、幸いストラテラも効きADHDからくる不適応も改善し、本人も好調だと納得され、喜んでおられるようになりました。

 しかし、上司からは君は本当にADHDなのか、大学病院でも一回調べてもらえと命じられたようで、奈良県の某大学病院を受診されました。

 その大学の先生から、ADHDらしい所見は全然見られない。これからいろいろ検査するが初診時の様子や経過を報告してくれと、上から目線の手紙が来たのです。

  正直ムッとしたのも事実ですが、ボーダーならいざ知らず、中等度以上のADHDも理解できなのかとあきれはててしまいました。

 そこでこのような、皮肉たっぷりな返事を返しました。
「そもそもADHDは、心理検査で診断するのではなく、多少の治療経験のある医師が国際診断基準であるDSM-Ⅳ(今はⅤがでていますが)を用いて診断するものですよ。そうすれば、非常に正確に診断できます。
そのうえ、この方はADHDの治療薬が非常によく効いたのでADHDの診断はすでに確定済みです。」と。
 失礼ながらまるで、幼稚園児に対する返答になってしまいました。

 このような、精神医学の骨格となるような発達障害のことも普通の精神科医は全く無知なので主治医の診断は参考程度にしておいて、治療結果次第で判断するしかないかもしれませんね。

ADHDの治療をしていて感じること

 私は、かなり以前からADHDの治療、特に成人になってから自覚されて受診されるようなADHDの患者さんの治療に、大変、興味をもって取り組んでいます。

 ADHDは、発達障害のなかでも最もありふれた発達障害であり、かつ、治療の工夫の仕方によっては劇的なほどに改善する発達障害でもあるからです。また、私自身や私の家族もこの発達障害とは無縁ではないからでもあります。

 今日、つくづくこの発達障害の治療の奥の深さを痛感させられるのです。

 第一に、治療薬である、ストラテラ<やコンサータ(成人には、現在のところストラテラしか使用できません)の効く可能性は共に60~70%しかないことです。

 診察では、ADHDであるか否か、あるいはその程度についてはよくわかりますが、薬がきくかどうかについてはまったくわからないのです。しかし、不思議なことに治療してみると薬が効く方と効かない方とに、はっきりと分かれてしまいます

 このことについて、私自身はADHDの原因となっている遺伝子の多様性に関係すると考えています。

 薬が効く方はラッキィーということでそのまま服薬していただければいいのです。今までと違って仕事も順調に進みます。服薬を続けていれば、その仕事そのものが効果的なトレーニングに変わり、スキルアップもするし問題の注意・集中力も鍛えられという好循環に変化します。まさに、いいこと尽くめなのです。

 しかし、薬が効かない残りの30,40%の方はどうすればいいのかという問題が残ります。その回答も私なりには、得たように思ってはいますが------。

 次に問題になるのは、特に成人のADHDでは合併する精神疾患が非常に多いという現実です。ADHDで薬が効けばそれを飲んでいればすべてが解決するように先に書いたのは、実は誇張です。

 本当のところは、合併する精神疾患の有無とその重症度を丁寧に見極めないといけないのです。主な合併症は、双極性障害(躁鬱病)、うつ病や過眠症(ナルコレプシーを含む)です。特に、成人のADHDでは双極性障害(躁鬱病)の合併は高率で、私見では半数以上の方が程度の違いはあれ合併しているように考えています。

 なかには、成人になってADHDであることをを自覚されて治療に来られているものの、ADHDより双極性障害(躁鬱病)の方が重度で、そちらの治療を優先しなといけないケースもよくあります。また、ADHDと双極性障害(躁鬱病)とを同時に治療しないと社会適応が改善しないケースも実に多いのです。ですから、成人のADHDの治療する医師は、双極性障害(躁鬱病)の治療についても人一倍すぐれていなといけいと思っています。

 よく診ないと、どこまでがADHDの症状で、どこまでが他の合併する精神疾患の症状か判然としないのです。つまり、合併する他の精神疾患が悪化すれば、ADHDの症状もより重篤に見えるのです。

 DSM—Ⅳという権威ある診断基準では、症状が他の精神疾患で説明できる場合は、ADHDと診断しないという原則になっています。しかし現実は、決してそんなに単純ではありません。実に、混とんとしているのです!

 私のクリニックには、近畿全域はもとよりさらに遠方から来られる方もおられるので、多様なADHDの症例に恵まれています。ですから、すでに他の精神科に通院中の方も多いのです。

 驚くのは、私の診断がADHDと双極性障害(躁鬱病)の合併であっても、他院ではほとんどが適応障害社会不安障害とかうつ病とかの診断になっていることです。

 多くは言いませんがその治療に疑問を感じて患者さんは来られるのでしょうし、また治療している私も手応えは感じている訳ですが。精神科治療の現状のあまりのあいまいさに、ただただ呆然とする毎日ではあります。

参照:ADHDの治療では、気分障害の合併に対する配慮もたいへん重要です。

ADHDの正式な治療薬であるストラテラがついに成人にも解禁されました!!

 正直なところ、いままで成人のADHDの治療は、決め手を欠いていました。

 主として、弱いながら中枢神経刺激作用があるベタナミンを使っていました。ベタナミンでも十分に効く方も大勢いましたが、全体として作用が弱いというのが偽らない実感でした。

 ADHDにナルコレプシーという睡眠障害を合併している方も多いのでそのようなときは、リタリンを使用でき、ADHDとナルコレプシーの両方の治療をできたとういう、ある意味ラッキイなケースもよくあります。このような場合は、たいていADHDの治療もスムーズでした。なにしろ、コンサータはリタリンの徐放剤(12時間にわたり持続的に効果を保つ効果を持つ薬)にすぎないのですから。

 今までは、18歳未満のADHDにしか、ADHDの正規の治療薬であるストラテラ、コンサータは使えませんでした。

 今日(‎2012‎年‎8‎月‎24‎日)からは、ストラテラが使用できるのは、ADHDの治療する側からするとまさに、成人のADHDの治療の夜明けといえるでしょう。海外事情と比べると、遅きに失した感はありますが。

 一方のコンサータは、当院においてもまだ治験中(医薬品の薬事法上の承認を得るために行われる臨床試験のこと) です。


 コンサータも一刻も早く、成人にも臨床適応になることを願っています。

 なにしろ、ADHDのために社会適応が悪く、自尊心が低く感情も不安定で悩んでおられる方は、ひじょうに多いのですから。

ADHDの人で、中枢神経刺激薬が効かない人もいるはなぜか?

 これは、大きな疑問でまだ誰も、はっきりした結論を言うのが難しいのではないでしょうか?
 このことは、診療していて最も大きな悩みであることは間違いありません。
 
 中枢神経刺激薬には、リタリン、ベタナミン、コンサータ(リタリンの徐放剤ですので本質はリタリンと変わりません)があり、ベタナミンよりリタリンの方が効果は強いのですが、現在は使用できません。コンサータも18歳未満は使用できません。リタリンは、裏社会などでの乱用が問題となり禁止されませたが、身体依存はなく副作用も少ないのでまじめに使用していられた患者さんの大半(ほぼ全員?)には、大変不合理な厚生労働省の判断だと思います。

 リタリンを一時、主としてADHDの治療に多量に使っていましたが、一例も乱用による問題は起きませんでした。ベタナミンも同様で、投薬するときに薬の依存性や副作用などの問題で躊躇することはありませんが、効くかどうかは試してみないと分からないと必ず患者さんにはいいます。リタリンの時もそうでした。

 よく効く人からは、「今までと違って、足が地に着いている感じで、先のことがしっかり計画できるようになりました。」「今まで、気分が不安定でしかたなかったのが、興奮することも不安になることもなくなり大変落ち着きました」などと絶賛されたりもし、うれしく思うことも多いのですが、ほとんど効かなかったという人には、反対に申し訳なく感じてしまいます。

 実は、このような効く人、効かない人の差があるのは、私はADHDの原因となっている遺伝子の多様性にあるのではないかと思っています。
 
少し難しくなりますが、例をあげますと、ADHDの家系の遺伝子解析では、

・ドパーミンの再取り込みの遺伝子の問題
・ドパーミン受容体遺伝子の問題
・ドパーミンに関する酵素の問題
・ノルアドレナリンの遺伝子に関する問題 などなどいろいろ原因があることが分かってきています。

要するに、ADHDでは症状は似ていても、遺伝子学上はいろんなタイプがあるということになります。
ですから、ベタナミンというひとつの作用機序しかもたない薬が効かないADHDがあっても不思議ではないと思います。

 ただ問題なのは、ADHDの薬には、ストラテラという作用機序の全く違う薬もあって治療に使用したいのですが、日本では、18歳以上の新規使用は認められてのです(諸外国では使用可能です)。この薬の効果ついては、残念なgら成人のADHDだけをみている当院としては使用できないのでよくはわからないのですが、中枢神経刺激薬が効かないADHDにも効く例があるのではないかと想像しています。

 いずれにしても、日本の医療がより開かれたかたちで、今後前進していくことを望みます。









ADHDと診断されると、一生薬を飲み続けないといけないのでしょうか?

 これはよく受ける質問です。
 私自身の考えを、述べてみます。

 まず、改めてADHDの方は何が問題なのでしょうか?それは、自分の他の能力にと比較して注意力だけが著しく劣っているために、課題に対して習熟ができない、そうすると集中力も磨かれず、整理整頓や、物事を優先順位をつけてする習慣なども身につかなくなり、自信を失ってしまい、効率がますます落ちてしまうという悪循環になってしまうということでしょう。

 ここで、中枢神経刺激薬を用いた治療の意義を考えてみましょう。

 中枢神経刺激薬を使用すると、集中力を引き上げることができます。それで、仕事などにミスが減り効率もあがります。

 これ自体でもは大変よいことではありますが、本質は違うところにあると私は思います。つまり日々、集中して仕事を継続するということこそは、集中力を養うのに最も大切なこというわけです。集中力は、他の人間の能力と同じようにトレーニングによって向上するものなのです。

 つまり、集中力を養うための最も効果的で、かつ一般的なトレーニングとは、実は仕事(家事)なのです。学生では、学業(スポーツなども含む)ということになると思います。

 この仕事をすることについて、治療によって五里霧中のような状態から抜け出て、十分な集中力をもって行い日々を送る。このような単純なことの繰り返しこそは集中力を養う秘訣なのです。特別なトレーニングなどは、必要ないと私は思っています。

 中枢神経刺激薬といえば、なにか怖いようなイメージもあるかも知れませんが、身体依存はありませんのでいつでも簡単にやめることができますし、実際に使っていてほとんど副作用も経験しません。

 以上いろいろ述べてきましたが、結論は、治療を受け、仕事というもっとも有効なトレーニングで集中力が十分に改善したと思える時点で治療は中止しても、何らかまわないのです。それこそは、ご自身の判断次第なのです。

<参考> 治療によってADHDが驚くほど良くなった経験

とにかく何かしていないと、おちつかない女性

 以前から通院されている30歳代の女性です。

 余暇でも、仕事でも何かいていなとと落ち着かなくて、常に予定表を埋めているといいます。

 仕事も、日中と夜間と2つの仕事をかけもっていたりします。

 余暇のクラブ活動も2つのグループをかけ持っています。

 常に何かしていないとという気持ちに駆り立てられて、多忙すぎて自分で自分を追い込んでしまって疲弊してしまうというパターンを繰り返しています。(過去のは、かなり危険な状態にもなっていましたが、今は彼女なりに一応落ち着いているといえるでしょう)

 感情の起伏も激しくて疲れるといいます。

 この方は、ADHDの多動性・衝動性が目立つパターンの方かと思います。

 私は、診断名を告げることはせずに、とにかくおさえ気味にやってくださいと常にさとし、幾分かの精神安定剤を彼女の希望に添って投与して様子を見ています。

幼児期のADHDが成長して良くなった事例

 教員のかたが、発達障害のクラスを受け持っているので、自分の幼少期を鑑みて自分ADHDではないかと思い来院されました。

 小学校の時は、

 ・ボーとしていることが多く、教師にもよく叱られた。
 ・集中できなくって、作業にミスが多く、時間がかかった。
 ・作業は、最後までできないことが多かった。
 ・注意がそれやすかった。
 ・落ち着かず、いつも体のどこかを動かしていた。
 ・忘れ物が、多かった。
 ・けがも多かった。

 しかし、現在はミスについては、メモを取るなど自覚して修正するようになってあまりめだたなくなった。その他のことも、かなり改善して周りに迷惑をかけないようにしている。

 ただ、じっとしているのが苦手で、体をピクンとうごかしたり、時折立ち歩いてりはしているとのことで、多動性は若干残っているようでした。

 わたしは、子供の時はADHDの診断基準にあてはまっていたようですが、現在は十分に改善し社会適応も問題ないようなので治療の必要も当然ありませんとお伝えしました。

 

治療によってADHDが驚くほど良くなった経験

 ADHDは、日本語で略さずには注意欠陥多動性障害といいます。

 正確には「病気」でなくて、「障害」なので「治らないのではないのか?」と考える方もいますが、半数以上の方は治療によってよくなるというのが私の実感です。

 時々私自身が、ビックリするほど良くなった例も経験しました。

 そのなかでも大学を卒業ばかりの事務職の女性の方のことを思い出します。彼女は、ADHDに関する本を読み自らADHDを疑い、診断して欲しいと言ってこられました。

 診断して欲しいとは言われるものも、会話の表現に正確性を相当欠き、会話があちこちに飛んでそうことに慣れている私でも大変聞きづらく、こちらの問には的が外れた答えをし、その答えも例によって別の話題に飛んでしまう・・・・話し方をきいただけで典型的なADHDとわかりました。

 ちなみにADHDの方でも、診察場面では相当意識して話をされるので、話し方だけでADHDと判断出来る例はほとんどありません。

 彼女は、明るい性格でしたが仕事がなかなか覚えられないうえに、ミスが多く、また人間関係もうまくいかず職場でも泣いてばかりでした。

 例によって、中枢神経刺激薬を飲んでいただいて、経過をみていきました。

 2ヶ月たったぐらいから、明らかに話し方が変わってきて、話題があちこちに飛ぶことが少なくなりました。そのころから、仕事がうまくいくようになってきて、職場で泣くことも少なくなったといいます。半年後には、新しいプロジェクトをまかされるようになり、治療には来なくなりました。

 来られなくなったのはきっと薬なしでも、うまくやって行けるようになったからだと思います。

 薬の使用には批判的方も多いとは思いますが、このような例もあるわけです。

 なぜこんなに薬がきいて、使用する必要が無くなるまでによくなったかということを私なりに考えると、

 ①薬の効果で、注意力が上がり仕事がうまくできる体験をとおして、要領をつかみ、自信も得たのでしょう。

 ②薬をのんで、注意力を引き上げた状態で、一層集中することによって、彼女の本来の集中力も引きあがったのではないでしょうか?・・・だから薬をやめることもできたのではないでしょうか?


 

家事に追われて余裕がなく、子供を叱り付けてしまう母親

 最近、「自分は大人のADHDではないかと思うがどうでしょうか?」と言って、受診される方がよくおられます。

 ADHDとは、注意力が弱く、持続せず、気が散りやすいなどのために、仕事にミスが多い、期限までに仕事を仕上げることができないなそのことで、職場では上司によく叱られたりもします。

 多動で椅子にじっとすわっていられずに授業中に歩き回ったりする子供や注意力に問題のある子供をADHDとして注目されていますが、というのも16%もの子どもが診断基準に当てはまるといわれ、大変多い病気のためでもあるのです。

 しかし、ADHDは単に子供の病気ではなく大人になっても症状が持続することが多いのです。
    

 ある主婦の方のお話ですが、特に自分が忙しいというわけでなく、主婦として最低限のことをしているだけだが手が回らないのでイライラしていまうとのことでした。

 そのために、学校から帰ってきた子供に些細なことで叱り付け、感情がコントロールできない程だといわれるのです。また、そういう自分を情けなく感じ、責めてしまうので一層イライラがつのるというのです。


その方は、子供の一人が自分に似ていて、その子がADHDの診断をうけていることから、自分もそうではないかと思いわれて受診されました。


 診察の結果は、そのお母さんにもADHDの傾向があり、そのために家事がこなせなくなってストレスがたまり、いらいらしたり抑うつ的になって感情のコントロールができず、子供に対して過度に叱ってしまうことのようでした。

 また、感情のコントロールができにくいのは、ADHDの衝動性の問題とも関係しているのかもしれないと考えました。

 やや抑うつ的でしたから、最初にうつの薬をのんでうつを改善してから、次にADHDの治療薬を飲んで頂き、家事の能率を上げて頂く、あるいは、薬が衝動性のコントロールにも有効かどうかもみてことにしました。

治療はきわめてうまくいき、気分の十分な改善がみられ、衝動的に子供をしかることもなくなり、家事も以前よりスムーズにできるとのことでした。一回の投薬でここまでよくなったのは、私にとっても驚きでした。


 大人のADHDは人口の10%もおられますから、この方のような問題も案外皆様の身近なところにもあるのではないかと思います。


 
プロフィール

中尾純治

Author:中尾純治
大阪府、高槻市の心療内科・精神科のなかおクリニックの院長です。暇な時間帯は、横になって音楽を聞いて過ごす(うたた寝?)のが日課になっています。患者さんに「先生はどのように過ごして、ストレスを管理していますか?」とよく質問されますが、これが私のストレス対処法です。詳しくは、このブログをみてください。

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